ホームページに連載するエッセイのタイトルをぼーっと考えていると、ふと今から20年前のことを思い出した。東京四谷の街をぶらぶら歩いていると、「ぱいんふぃーるど」という看板が目に入った。ドアを開けて店に入ると、カントリーミュージックが流れていた。
カウンターでビールを注文しながら、マスターに「マスターの名字は松野さんでしょ?」と聞くと、マスターは「何で知ってんの?」と驚き、「看板がぱいんふぃーるどだったから・・僕も松野なんです」と僕が答えた。PINEは松・FIELDは野だから、店にこんな名前をつけるのは、松野さん以外にないと考えたからだ。それから、飲みながらマスターの家が松野という名字を名乗った全国で初代の家であり、源氏の流れをくむ一族だと聞いた。(僕の家は、千葉県の漁師と船大工の家で、名族の松野家とは全く関係がありません)店でちょうどハンク・ウィリアムスの“I saw the light”が流れていた。
ハンク・ウィリアムスはカントリーミュージックの大御所で、カーペンターズがカバーした”ジャンバラヤ“もハンク・ウィリアムスが原曲だ。カントリーミュージックというと、若い人はオヤジが好きなジャンルというイメージかもしれないが、今でもアメリカのヒットチャートの上位にはカントリーミュージックが並んでいるし、ウエストコーストロックやサザンロックのベースもカントリーミュージックだ。
マスターの松野さんは日本のカントリーミュージックの創成期からのメンバーの一人で、ジミー時田さんやカントリーミュージシャンだった頃のいかりや長介さんの話や日本のカントリー史に詳しく、それからもう20年たった今も、たまに店に顔を出している。もうひとつ、ぼーっと思い出したことは、当時シカゴから英語教師としてやってきていた飲み仲間のボブが、「“Field of Dreams“を見て感動して泣いた」という話を肴に盛り上がったことだった。
ベースボールはアメリカの国技でアメリカ国民の琴線に触れる特別なスポーツなのかなあ、と思ったが、日本人が「土俵の鬼 若乃花物語」を見て、感動するかどうか・・・。
この二つの出来事から、エッセイのタイトルを考えた。この話には特にオチはありません。 単なるくだらないダジャレのタイトルです。
Comments