衆議院議員 松野ひろかず HomePage

平成30年7月2日(月)第1回政経フォーラム

平成30年7月2日(月)
衆議院議員 松野 博一

<日本の課題=雇用労働政策>
価値観を創造し、国際競争を勝ち抜いていくために必要なこと

 日本の外交問題の最大の課題、北朝鮮、中国を含めた東アジア、この安全保障体制をどう確立をするかということが最大の課題であります。内政に関しては、超高齢化社会、超少子社会、この問題に対して、どう対応していくかというのが内政の最大の課題です。超高齢、超少子社会に付随して、発生する社会保障の問題、教育の問題、そして、雇用労働政策ということになっていくかと思います。

 労働政策が経済政策に大きな影響を与えるという時代になってきたと思います。そして、これは、政策だけでなく、みなさんの企業にとってのマネージメントにおいても重要ですし、さらに、商品の開発、サービスの開発等、マーケティングにも極めて重要なポイントになってきています。

松野博一講演風景

働きかたを変えていく方向ですけども、まずは、働きかた改革というと、いかにして、長時間労働を是正するかという課題があります。日本人の今後の価値観をどう創造していくか、国際競争をどう勝ち抜いていくかってことを考えると、もう、人件費が安い海外に日本も長時間労働で対応していくことはできないのだと思います。日本独自の付加価値を、どう高めていくかという働き方に変えていかないと、企業自体も、海外との国際競争力が落ちていってしまう。この働きかた改革を進めることによって、企業にとっての戦略を変えていく、高付加価値戦略に変えるということが必然になってくるんだろう思います。

<働き方改革法案 3つのポイント>
長時間労働、同一労働同一賃金、高度プロフェッショナル制度の創設

 今回成立した働きかた改革法案の1つ目のポイントは、この働きかたを変えていこうということで、長時間労働の上限規制を、初めて入れました。原則、月45時間、年360時間、最大でも特例時に月100時間、年720時間ということでありますから、これは残業時間に上限を入れたということで画期的なことであろうと思います。

 2つ目のポイントが、同一労働同一賃金ということでございます。実は今回の法案の土台を検討してる時に、同一労働同一賃金PTというのが自民党の中にありまして、この問題に関する取りまとめを私が、座長としていたしました。問題点を言いますと、ヨーロッパの場合、正規社員の給与を100とすると、非正規社員の給与というのは、だいたい80パーセント前後でありますが、日本の場合は正規社員の給料を100とすると、パート、アルバイト等の非正規社員のかたがたの給与というのは、65パーセント前後ということで、だいぶヨーロッパ諸国とはひらきがあると。これをできるかぎり、この差を縮めていこうという趣旨であります。

 ただこれは、同一労働同一賃金に関してヨーロッパ諸国と大きな違いがありまして、ヨーロッパ諸国における、同一労働同一賃金というのは、同じ業種を通して、実現していこうということでありますが、今回、日本で取りあげてる同一労働同一賃金というのは、一つの企業の中において、正規社員、非正規社員で、同じ仕事をしてる人の賃金待遇格差をなくしましょうということです。

 ヨーロッパの場合は、労働組合が日本のように企業別の労働組合ではなく、産業別の労働組合になってますから、おのずと成り立ちが違ってくるということになるかと思います。

 そして、3つ目のポイントが高度プロフェッショナル制度の創設ということであります。実はこれは、対象者が年収1075万以上かつ管理職ではないということでありますから、実際には、対象となるのは労働者の0.4パーセントだと言われております。1000人のうち4人なんですね。実体的には、これが成立したからといって、すぐ大きな経営上の問題が出てくるとは事実上言えないと思います。しかし、いままで、日本人の働き方は時間で換算をしていたのが、成果で考えていこうということで、コンセプトとして大きく変化したと。たとえ、対象が0.4パーセントであっても、労働に対する評価の考えかたが「時間給から成果」に変わったということは大変大きな変化があったことであろうかと思います。

今回の働きかた改革法案は、この「残業の上限規制」、「同一労働同一賃金」、「高度プロフェッショナル制度の創設」と、大きく言うと3つで構成をされておりますが、まさに、安倍総理が、今国会の最重要政策だと、労働政策を取りあげてることに、時代が大きく変化をしてきてるということを、感じていただければと思います。

<人手不足をどう解消するか①>
まずは日本国内の労働資源、いかに掘り起こすか

 現在の日本の雇用労働問題で、いちばん切実なのが人手不足の問題です。
「仕事はあるんだけれども、人がいないから受けられないんだ」と、「伸ばせないんだ」という声を、多くの経営者のかたから、私もお聞きをいたします。そして、この人手不足問題のデータを読みこんでいくと、中小零細企業ほど、人手不足の状況になっておりますし、地方に行くほど、人手不足が深刻になってるということであります。
そして、人手不足が特定の分野に、集中をしてきてるということも言えると思います。いちばんは介護、建設、運輸、小売、この4つの分野が、特に人手不足が深刻になっているところであります。

 では、どう具体的に対応していくのかということに関する提案ですけれども、これは、「高齢者、女性の更なる社会進出」の推進をしていかなければならない。 その上で「税・社会保障制度」は最も重要な国家のメッセージであります。私個人として、また、雇用問題調査会の議論として、「そろそろ配偶者控除の問題、社会保障、3号被保険者の問題も含めて、抜本的に議論をし直す時期が来てるよね」というのは、自民党内においても、大きな流れになってきてるのかなと思います。また高齢者、女性が更に社会進出できるように、短時間労働・ワークシェアリングが、もっと用いられてくるのだろうと思います。

松野博一講演風景

 これらの日本国内の労働資源の掘り起こしをできるかぎりやった上で、しかし、それでも足らない分野というのが、さきほど挙げた介護、建設、運輸、一部の小売、こういった分野です。これらは、他の分野と同等の労働条件になっても、なかなか、日本のいまの若い人が、目を向けるかというと難しいという側面があるんだろうと思います。そこで、私達の提言では、これらの「労働条件整備を進めた上で、さらに足らない分野に関しては、外国人労働者のかたに日本で活躍してもらわざるを得ない」ということではないかという提案をさせていただきました。

<人手不足をどう解消するか②>
外国人労働者に対する意識改革を

 一定の秩序のある管理のもと、新しい外国人のかたに日本国内で、活躍をしていただくための、資格を作ろうという提案をいたしました。そして、この提案は今回の、いわゆる、政府の骨太の方針においても、実現に向けて、いま、具体化が進められているところであります。これは移民政策をとるということではありません。安倍総理も「移民政策はとらない」と明言されています。 外国人労働者に対する問題意識は、いままではどちらかというと日本において、安い労働力として、外国人労働者を使えないかと、働いてもらえないかという意識があったかと思いますが、いまの外国人労働者市場の問題意識というのは、このままでいくと、5年後、10年後には、外国人労働者が、日本を選んでもらえなくなってしまう、という危機感であります。

現実的な例として、もう既に、EPAで、フィリピンの看護師さんは日本で働いていただけるようになっていますが、ほとんど、フィリピンの看護師さんは、日本の労働市場には参入されてません。フィリピンの看護師さんというのは、大学卒業で、キャリアとしてはエリート層なんですね。

 それでフィリピンの看護師さんがいま選択してるのはカナダでありまして。なぜかと言いますと、カナダはフィリピンと同じで母語が英語でありますから、わざわざ、日本語を覚える苦労がいらない。そして入国時に、永住権を与えてくれるんですね。 看護師の資格を持って英語をしゃべるとなると、最初から永住権を与える。日本は、ワーキングビザの更新をするというだけでありますから、フィリピンの看護師さんが日本とカナダ、どちらを選ぶかといえば、これはもう、カナダを選択することが当然になっていくんだろうと思います。中国は、いまものすごい勢いで市場が広がってますが、ひとりっ子政策をとってきましたから、今後、猛烈な人手不足になっていきます。そして、韓国も外国人労働者に関しての待遇を、どんどん上げてきてるんですね。東南アジアの都市周辺においての労働者の待遇は日本に近づきつつあります。

松野博一講演風景

 こういったことを考えると、いまのままの日本の外国人のかたに対する給与待遇ですと、5年後、日本が外国人のみなさんに選ばれる労働市場ではなくなっているという危機感がありまして、提案の中にも、外国人労働者が日本人と同等以上になる待遇改善が必要だと。東アジアの外国人労働者市場の中で、日本が選ばれる政策を作っていかなければいけないというのが、このところ新たに出てきている外国人労働者に対する問題意識であります。

<日本の労働力 その課題>
待ったなしの高等教育改革 “今はない” 職業に就く子どもたち

 日本の労働力がどんどん減少してくということは、事実ですので、ひとりひとりの質を上げていかなければいけない、教育問題、特に、大学、専門学校、こういった高等教育改革を進めなければならないと意識が高まっております。私個人の問題意識として持ってるのが、今の大学の学部のあり方です。次の時代の主力産業、AI、ICT、これらの人材を考えた時に、中国、韓国の大学は学部の3分の2が日本でいう、いわゆる理系の学部なんですね。3分の2が理系学生です。それに比べまして、日本は理系学部の学生数というのは5分の1でしかありません。

 こういったことを考えると、日本も学部構成を考えた時に、やはり、理系、技術系と、次の時代の職種に対応した学生の数を増やしていかざるを得ないんじゃないかと、個人的には考えてます。

 大学、また専門学校はそれぞれに、自治のもとにカリキュラムを作りますので、政治家や行政が、学部はこうしろと言えないたてつけになってるんですね。政治行政では、主導がしづらい。では、どうすればいいのか。

 いちばん効き目があるのは、企業のみなさんがたが理系の募集枠を広げるということだと個人的には思っています。 文系の募集枠を抑えるとか理系の初任給を上げるといった企業側からの判断が、最も、学校法人の判断に影響を与えてくるんだろうと思います。

 そしてもう一つ重要なのが、リカレント教育ということであります。一生涯を通じて、どう、みなさんが新しい知識を身につける機会を提供していくかということであります。ニューヨーク市立大学の研究では、いまの小学生が、大学を卒業して就職をする時、いまの小学生の67パーセントは、いま存在しない職業に就くそうです。そして、オックスフォード大学の研究で、現存する職業の45パーセントは15年から20年以内に自動化されてしまうというという研究成果も発表されました。

松野博一講演風景

 いまの小学生が大学を卒業して就職するっていうのは、あと10年ちょっとですから、10年ちょっとの時間のあいだで、67パーセントの子ども達は、いま存在しない職業に就くという、いままでに経験したことがないような、とても大きな変化が短時間で起こっていくということかと思います。ですから、子ども達の教育も、変化に対応できる教育というのを主眼として、私が文部科学大臣当時、学習指導要領の改正をいたしましたし、既に、社会に出てるかたがたも、新しい社会ニーズを身につける、そういった時代要素を踏まえてのリカレント教育というのが必要になっていくということは当然のことかと思います。

<今後の裁量労働制の在り方>
労働市場の流動性を高め、定年制度の見直しを

 今回の働きかた改革法案の中では、厚労省のデータの不備等の問題があって、裁量労働制の部分がすっぽり抜けちゃったんですね。裁量労働制の拡充の部分。これは別に、一部の労働組合や野党が批判してるような、残業代を払わなくて、企業が利益を上げていくために、これをやろうっていう考えは、私達は、まったくありません。むしろ、「ワークライフバランスの中で付加価値を、どう上げる働きかたをしていくか」、このことを実現するためにも、しっかりと検証した上で、裁量労働制の必要な部分は拡充しなければならないと思っております。今回、法案から、これがすっぽり抜けてしまっていましたので、今後この裁量労働制の在りかたについては、当然議論になってくると思います。そして、これも大きな日本の労働市場の課題でありますが、労働市場の流動性というのは高めざるを得ないと言えるかと思います。

 日本の労働者、企業人のですね、企業に対するロイヤリティというのは、日本は、一見、高いようなイメージがありますが、実際はアンケートをとって諸外国と比較をしてみると、日本の企業人の企業に対するロイヤリティっていうのが決して高くないんですね。海外のほうが、むしろ高いんです。それは、日本の労働市場が流動性がなくて、一度入った企業から移る時に、様々な問題が生じるんで、ほんとにやりたい仕事が、その年代年代で選べてないんじゃないかという分析もありました。また、成長産業にどんどん移していかないと、日本経済全体としての労働市場が成り立たないということもあります。そういった意味でもですね、労働市場の流動性を高めるということは、大切な議論になっていくんであろうと思います。

 あとは、最低賃金ということも、いま、雇用問題調査会の中で議論しておりますし、定年制度も、今後日本の働きかたにおいて定年という考えかた、これは、実は国際的には、日本を含めて少数しか取り入れてない。日本の定年制度自体が世界標準から考えると特殊でありますけれども。この在りかたも、高齢社会、高齢者のみなさんにご活躍をいただく、また、人手不足問題、こういったことも考えて、今後、議論をしていかなければならない問題だと考えております。

 今後、労働政策で、こういった点が議論の論点になるんだなということを、お考えをいただければと思います。ご清聴ありがとうございました。

  • 開催概要
  • 原則、毎1月、3月、5月、7月、9月、12月開催。
  • 11月は励ます会を別途開催。
  • 問い合わせ<事務局>
  • 〒100-8981 東京都千代田区永田町2-2-1-502
  • 電話:03-3508-7329  FAX:03-3508-3329

 

Copyright ©2008-2013 Matsuno Hirokazu. All Rights Reserved.